昆虫や水生生物が大好きだった幼少期
私は物心ついた頃から、昆虫や水生生物が大好きでよく捕まえに行っては、飼っていました。
山に入って行った時の夏でも涼しいひんやりとした感じ・・・山の匂い・・・すごく心が落ち着く感じが今でも鮮明に覚えています。
その頃、毎年、東京都何個分の森林が伐採されているというニュースをよく耳にしました。子供ながら、すごく心配した記憶があります。なんとかする事ができないかなぁ・・・と。
それから中学、高校と進学しましたが、趣味のオートバイ中心の生活を4年程送り、22歳の時に結婚をしました。結婚後も漠然と仕事をしていたのですが、25歳のある夏の日、転機が訪れるきっかけとなる出来事がおこりました。
一生懸命な老人の姿を見て我に返る
その頃の私は恥ずかしながら仕事に不真面目で、近くの公園でよく仕事をサボっていました。
その日も公園でサボっていると、松葉杖をついた80歳位の老人の方が、公園の周りをリハビリのような感じでしょうか、歩く練習をしていました。その姿を見ながら私はウトウトと寝てしまいました。
1時間位寝ていたのでしょうか、目が覚めて、ふと公園の方を見ると、まだあの老人が一生懸命歩く練習をしているのです。なぜか、その老人を食い入るように見ている自分がいました。この暑い日に・・・この歳でなぜ・・・歩く練習をしなくても車椅子でもいいんじゃあないの・・・・いろんな事を考えている内に、急に自分が恥ずかしくなりました。
自分はこんなに若いのに、仕事をさぼって昼寝して・・最悪だ・・。
なにか、目覚めた気分になりました。今度は仕事を真剣に考えようと思うようになりました。その時、自分は何が出来るか考えた時、小学生の頃の記憶がよみがえって来て「そうだ!緑を増やす仕事がしよう」そう思って、造園会社に就職しました。
転職、そして・・・会社設立
造園会社に入ると、いろいろな事が経験したことのない仕事ばかりで夢中で覚えたように思います。一生懸命、仕事をしました。忙しくて、家に帰らず、車で寝た事もありました。
あっという間に6年が過ぎました。一通り仕事も覚えました。
ふと立ち止まって考えると、「世界に緑を増やそう」と言う目標は全く進んでいませんでした。
このままでいいのかな・・いや、ダメだよなぁ・・どうしたら前に進むんだろうと考えた時、「時間とお金が必要だ」ときづきました。そうすると、サラリーマンではダメだな、よし自分で会社を立ち上げよう!
そうして独立したのが31歳の時でした。
独立後、声をかけてくれた人たちに感動
独立したものの、これからどうしていったらいいか、全くわかりませんでした。
子供もまだ、小学2年と幼稚園だし、すごく不安だったのを今でもはっきりと覚えています。
独立したての私にとっては本当にありがたく、今でもとても感謝しております。
今思えば、サラリーマン時代、一生懸命、まじめにしてきた事が、つながったんだろうなと思います。
会社が軌道にのり、いよいよ世界の緑化へ
しかし、その当時は自分の給料を稼ぐのが精一杯で、とても世界の緑化の事を考えている余裕などありませんでした。
独立して5年程たち、ようやく仕事が軌道に乗ってきました。
自分の生活が確保できるようになり、やっと世界の緑化への第一歩が踏み出せました。
初めは、いろいろな植林ボランティアのツアーに参加しました。そして植林の現地に行って共通して感じたのが、「現地の人達の環境問題に関する意識」です。
現地の人達は日々、自分の生活を維持するのが精一杯で、環境問題を考えるゆとりがないように思います。
当然の事だと思いました。自分も、独立した頃は自分の生活の事で精一杯で、とても緑化の事など考えている余裕などなかった事を思い出しました。
地元の人達の利益を最優先に考えた緑化活動
当然の事ですが、植林ツアーで植林をしても、自分の思ったようにはできませんでした。
ツアーに参加して感じたことなのですが、樹木を植えるというよりは「お祭り」のようなイメージが強かった印象があります。日本からの植樹ツアーの参加者に対して歓迎会を村全体で開いてくれるのですが、夕方から歓迎会が始まり、夜遅くまで続き、我々日本人が帰っても続きます。そんな費用も植樹ツアーの中に含まれています。
歓迎会だけでは、村人達とそれほど親しくもなれず、少し残念な気持ちが残りました。
ツアーの主催者の方達に植樹の費用はいくらくらいかかっているのかを尋ねたところ、100万円以上かかっているとのこと。これだけの費用をかけるのだったら、もっと村の人達と親しくなり、もっと村の人達の役に立つ植樹は出来ないものかと考えるようになりました。
そして、やはりここは自分でやるしかないと思い、タイ政府にダメ元で直談判にしたところ、意外にも了承してくれて、しかもとても喜んでくれました。
緑化を進めたいのであれば、絶対に地元の方の協力なしでは無理です。そこで「現地の果物の苗木を植えれば、地元の方の協力を得られるのでは?」と考えました。苗木を植えれば、苗木を育てる為に雇用が生まれる。苗木が育って果物が取れれば村の人達の利益になる。きっと、きっとみんな協力してくれるだろうと思いました。
予想は見事に的中しました。植林の当日、村の人達200人程の人達がボランティアに参加してくれました。警察までが協力してくれる位、大規模な植林になりました。
やはり、緑化とは地元の人達の協力なしでは、継続できない。その為には、地元の人達の利益を考えなければいけないと実感しました。
豊かな自然を取り戻すため
2005年からスタートしたエコプロジェクトですが、植樹活動はすぐに結果がでるわけではありません。
長期的に継続することが大切だと思っております。
これからもいろいろな問題に突き当たることもあるでしょう。
しかし、私が子供の頃に触れ合った豊かな自然を取り戻すため、植樹活動を続けていきたいと思います。
「みどりいっぱいの世界」を目指して、エコプロジェクトを推進いたします。